吉祥天龍神図

吉祥天龍神図
吉祥天龍神図

 

私は「能絵」をライフワークとしている身ですが、この度の、東日本大震災という甚大な大災害からインスパイアされて描いた作品です。 

あまりに大きな、そして人々の深い悲しみを目にして我が身の非力さに打ちのめされ、絵師の「私に出来ることは何か」と自問自答していた中、 ― 被災3日後の深夜でした、「鎮魂・救済・復興の象徴神を描きなさい」とのメッセージを夢の中で受けました。

そうして描き上げたのが『吉祥天龍神図』です。 観た人の『心を穏やかにし、一時でも豊かな心地に誘ってくれる』― そんな絵を描いて発表する事が 私の務めではないかという想いに至りました。

「吉祥天」は海の泡から生まれた 除災・招福・富貴・繁栄の女神です。

慈しみと魂の救済、復興への願い、平和で安らかな営みを皆が持てるよう、華麗な多色遣いが元気を育んでくれるように祈りを込めて描きました。

 

描いた作品を通じて 世の中に貢献ができるよう今後も努めて参りたいと思っています。

 

創作に当たっては、浄瑠璃寺(京都・木津川市)の吉祥天女像(1212年制作)をイメージし、龍神は海や大地の守り神=聖獣として、また吉祥天の守護神として描きました。

如意宝珠(エネルギーを意のままにできる)を左手に掲げ、右手に与願(民衆に「願い」に応える)の施無畏印を結んだ吉祥天が黄金に輝く海流に乗って現われ、波間から飛び出た龍神は 八方睨みの形相を表して背後に控える 『鎮魂と救済・復興を祈願し守護する』 構図です。

私の住いのある、洛北には 妙見宮(北斗七星) を祀っているお寺があります。

「北」は、玄武 ( 霊亀 ) が守護になりますが、本尊の岩戸妙見大菩薩は玄武に乗り白蛇を手にしています。 脇には「七面天女」の吉祥天が控えていますが、法華経を守護する為にお釈 迦様が美女に変化して現われた、そのお姿だということです。 

「七難を七福に転じる」そうです。  中世の頃までは、七福神には「吉祥天」が入っていました。 今は、「弁財天」に変わっています。