okina

「翁 は能にして能にあらず」と云われているように、能の中では別格に扱われ、神聖視されています。 

それは、私達の祖先が親しんだシャーマニズムの形を色濃く 残しているからです。 

他の演目と違い、鑑賞する為というよりも天下泰平・国土安穏・五穀豊穣を祈る、儀式・祈祷といった祭礼のスタイルを伝えているから です。 

記録では、能の様式が確立するはるか以前の、村上天皇の御代(946~967)に秦 氏安が宮中にて猿楽六十六番を舞い、その中から最上の三番を選んで【式三番】としたと伝えられています。

式三番 ( 父尉・翁・三番猿楽 → 三番叟 ) はいづれも老体の神が祝言 ( 謡い )・祝舞 ( 天地人の舞い ) を行うもので、鎌倉時代中期にはこの様な形式に定着したものと考えられます。 

なかでも翁は舞台上で面(おもて)を着け、そして外しますが、これは他の能ではしないことです。 

翁が面を着けることによって神の霊が降臨して翁自身が神となり、天・地・人の足拍子を踏み、天下泰平を寿ぎ、万歳楽を祈念します。

 

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